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 Frozen (cryopreserved) thawed Embryos transfer


胚および卵子の凍結保存と凍結胚(Frozen Embryos)の移植についてのご説明


当院では、以下の場合、胚(受精卵)および卵子の凍結保存を行っています。
胚および卵子の凍結保存と移植の実施にあたっては、日本産科婦人科学会のヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する見解を遵守し、当院倫理委員会の承認のもとにご夫婦のインフォームド・コンセントをいただいて行います。

凍結保存を行う場合
@ 移植せず余った胚
体外受精・胚移植のためにはできる限り多くの胚をつくり、その中でも最も良好な胚を3個までに限って子宮内に戻します。この時、移植せず余った胚を凍結しておくと、次回、採卵をする必要がなく、適切な時期(自然周期の排卵後など)に凍結胚を融解して移植することができます。
A 子宮内膜環境や胚と子宮内膜の同期化
子宮内膜が薄い時などに胚および卵子を凍結する場合があります。子宮内膜が十分厚くなったのを確認した後、あるいは自然周期などで排卵を確認した後に凍結卵を融解し、胚移植を行います。
B 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の予防
採卵の時点で卵胞が多数形成されて、卵巣が腫大しているOHSSの場合、胚移植を行い妊娠すると、さらに卵巣が腫大し、腹水や胸水が貯留、血栓症を発症して生命の危険にさらされる可能性があります。このような場合は、胚移植せず、分割した胚をすべて凍結して、OHSSが改善された後に融解して移植します。

凍結法
凍結方法には、プログラムフリーザーという装置を用いてゆっくり凍結していく方法(緩慢凍結法)と、プログラムフリーザーを使用せず急速に凍結する方法(ガラス化保存法)があり、胚や卵子の状態によっていずれかの方法で凍結後、-196℃の液体窒素の中で保管します。
1) 緩慢凍結法
細胞を低濃度の凍結保護剤のなかで平衡化した後、氷点よりも少し低い温度で細胞外の水分を氷晶化させていきます。それによって、細胞内の水分が細胞外に流出し、細胞内脱水が進行します。十分に脱水できた時点で液体窒素に入れると細胞内は氷晶形成することなく固化(ガラス化)します。この方法は、前核期胚などの早期胚の凍結に対して高い生存率が多数報告されています。また、次に示しますvitrification法に比べて、低濃度の凍結保護剤で済むという利点があります。
2) Vitrification(ガラス化保存)法
細胞を高濃度の凍結保護剤に浸透させ、細胞内を脱水・濃縮させた後、直接液体窒素に投入して急速冷却することで溶液全体をガラス化する方法です。この方法では高濃度の凍結保護剤を使用しますが、細胞内氷晶による傷害が少なく、未成熟卵子から胚盤胞まですべての生殖細胞の凍結が可能で、高い生存、分割率が得られています。

融解法
緩慢凍結法、vitrification法の双方とも、速やかに各融解液で細胞内の凍結保護剤を希釈、除去し融解します。
胚移植は、融解後に細胞分裂を再開した良好な胚のみを移植します。
なお、当院では、戸籍上の夫婦間でのみ体外受精・胚移植を行います。また、受精卵はご夫婦以外の第3者には譲渡・移植をしません。

 F-ET Luteal support paper.pdf                                                          

この治療に伴う危険性と、偶発症発生の可能性
@ 凍結・融解による細胞傷害の可能性と生まれる児について
細胞は、その構成の約80 %が水分であるため、凍結や融解によりさまざまな傷害を受けます。傷害の主な原因は細胞内の氷晶形成による細胞膜や細胞内構造物の破壊です。これを避けるために、凍結の際、凍結保護剤を添加したり細胞内脱水を行ったりしますが、凍結保護剤自体の細胞毒性や塩類濃度の上昇による傷害、細胞の収縮による傷害の可能性があります。また、融解時には濃縮された細胞内へ急激に水が流入して細胞が拡張し傷害を受ける可能性があります。
凍結する前に良好な胚であっても、凍結・融解後に変性し、移植できないようになる可能性があります。
これまでの報告では、凍結胚移植によって生まれた赤ちゃんは自然妊娠の赤ちゃんと比べて異常が起きる確率に大きな差はないとされていますが、成長後の知能指数や行動異常といった長期予後に関しては、現在も世界中で研究調査中です。凍結条件や凍結保護剤などが胚にどういった傷害を及ぼすかも、現時点では十分に解明されていません。
また、40歳以上の方の妊娠では、体外受精児に限らず、年齢に伴った妊娠および胎児におけるリスクが増加することが知られています。
A その他のリスクについて
ご希望により3個まで胚移植を行いますが、一般に、体外受精・胚移植での多胎妊娠率は16〜17 %と高率ですので、多胎妊娠の危険性が高い40歳未満は2個以下に、とくに35歳未満で胚移植を初めて受ける方には1個に限らせていただきます。
また、体外受精・胚移植による妊娠では、自然妊娠に比べて流産率が高いことが報告されています。年齢によってその率は異なりますが、15〜25 %程度で、40歳以上ではやや高くなります。子宮外妊娠の発生率も約5 %と、自然妊娠の場合と比べて高いことが知られています。

融解後の余剰胚、変性胚について
胚はその質が良いもの(良好胚)から3個を限度に移植を行いますが、融解したが移植しなかった余剰胚や変性した胚、蘇生しなかった胚は当院が責任を持って廃棄いたします。

保存更新と廃棄について
1年ごとに凍結胚および卵子の保存更新を行いますので、その際は、保存継続の有無の意思表示を書面で確認させていただきます。
胚および卵子の凍結保存期間は、ご夫婦の婚姻の継続期間に限り、かつ卵子を採取した貴方の生殖年齢を超えないこととします。貴方が妊娠、出産し、その後妊娠を希望しない場合や夫婦の離婚、死別などの場合、貴方の署名のもとに胚および卵子を廃棄いたします。

治療の有効性・成功率
凍結保存した胚の融解後の生存率は文献によってばらつきがありますが、50〜90 %程度です。凍結胚移植による1周期あたりの妊娠率は15〜40%程度です。この数値は凍結法の種類によって大きな差はありませんが、年齢、採卵個数、卵子や精子の所見、凍結前後の胚の所見などの条件によって変わってきます。

代替可能な治療と、治療を行わなかった場合について
代替可能な治療としては、胚を凍結しない新鮮胚移植が考えられます。凍結胚移植のリスクがご心配な場合は主治医または担当医にご相談ください。
ご希望により、カウンセリングや他医でのセカンドオピニオンを受けることができます。
胚の凍結保存と凍結胚移植に対する同意はいつでも撤回でき、その場合も何ら不利益を受けず、今まで通りのご希望の治療をうけることができます。

料金について
体外受精・胚移植、顕微授精は、現在のところ健康保険の対象ではなく、全て自費診療です。料金は当日に全額をお支払いいただきます。

教育・学術研究へのご協力のお願い
生殖補助医療の進歩に貢献するため、患者さまに不利益をもたらさない範囲内で、検査結果(数値、画像、組織標本など)を、教育や学術発表に使用させていただく場合があります。その際には、貴方の個人情報が明らかになることはありません(なお、個人情報が明らかになる可能性がある場合は、別途説明をさせて頂きます)。また、当院は社団法人日本産科婦人科学会の生殖補助医療の実施登録施設であり、毎年、同学会へ治療成績を報告する義務がありますが、その際にも、貴方の個人情報が明らかになることはありません。
これらは医学・医療の発展を目的とするものであるため、ご理解の上、ご協力をお願いいたします。

大川産婦人科・高砂

                                                             

同 意 書

医療内容:胚および卵子の凍結保存

同意内容

胚および卵子の凍結保存と凍結胚の移植について
別紙「胚および卵子の凍結保存と凍結胚の移植についてのご説明」参照

説明日 平成   年   月   日

説明医師                  (自署)

私たち夫婦は今回の体外受精治療において生じた胚や卵子の凍結保存について、別紙の説明内容を十分に理解いたしました。胚および卵子の凍結が必要な場合には下記の事項に同意しますので、胚および卵子の凍結保存をお願いいたします。

1. 胚および卵子の凍結保存法や凍結融解後の生存率について十分な説明を受け、納得しました。
2. 胚および卵子の凍結保存期間は1年間までとし、その後の処分は貴院に一任いたします。1年以上の保存を希望する場合は、1年以内に申し出ます。
3. 日本産科婦人科学会会告‘胚の凍結保存期間は、夫婦の婚姻の継続期間のみとする’に従い、夫婦が離婚した場合には、戸籍謄本のコピーを提出し、凍結胚を破棄することに同意いたします。
4. 凍結融解後に変性した胚および卵子の取り扱いは貴院に一任いたします。
5. 連絡先に変更があった場合は必ず連絡します。

平成   年   月   日
大川産婦人科・高砂
院長 森田 哲夫 殿

患者 妻 :  住所                          
(自署)
氏名                        印 

患者 夫 :  住所                          
(自署)
氏名                        印 
同 意 書

医療内容:凍結胚の融解と凍結胚移植

同意・依頼内容

凍結胚の融解と凍結胚移植について
別紙「胚および卵子の凍結保存と凍結胚の移植についてのご説明」参照

説明日 平成   年   月   日

説明医師                  (自署)

私たち夫婦は、凍結胚移植について説明を受け、その医療内容を理解しました。このたび、貴院に凍結保存しておいた胚を融解して胚移植を行うことを依頼します。また、融解後に変性した胚の取り扱いは貴院に一任いたします。


平成   年   月   日
大川産婦人科・高砂
院長 森田 哲夫 殿

患者 妻 :  住所                          
(自署)
氏名                        印 

患者 夫 :  住所                          
(自署)
氏名                        印